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■『WAR』


「WAR」~戦い続けた兵たちの誇り~ (2002年 第8回公演)


まず、内容に入る前に、照明には力入ってますね。この舞台は。 戦闘機が飛び立つシーンなんか、照明でものすごい臨場感を出していたし、 人が撃たれるシーンも、見事赤照明で表していて、コレはなかなかすごい。と思いました。 あと、客演の多さに役に集中できないのがちょっと辛かったです。 一人ひとりキャラクター設定するのもいいけど、 もう少しメインを絞り込み、重要人物をきちんと描いてやった方がしまりがでたかなと。 この「WAR」は「ヒミツの大泉洋」で稽古風景が少し流れていて楽しみにしてました。 この話を見始めて、まず混乱からはじまりました。 なぜなら、戦争ものだから昔の話だと思っていたから。 無国籍軍で、日本を侵略する?え?どうやら現在の話らしいですね。これは。 では、以下スタートです。(ストーリーはものすごく簡略化しています)


登場人物

ホーク少尉

ホーク少尉
ハイド

ハイド
マイク

マイク
ロイ隊長

ロイ隊長
総帥リチャード

総帥リチャード


無国籍軍 MSF(ネバーセイントレスフォース) 「戦争を永遠になくす為の、平和の為の戦争をする」ことの為に集まった軍。 世界統一の為に征服しやすい日本から侵略を開始する。 (私はこの段階ですでに、「平和の為の戦争って?」ってちょっと疑問がありました。) このお芝居のキーワードは 「生きることの意味」であり、それぞれの軍人が生きることの意味を持ちながら戦いを続けている。 その中で、HIDE(ハイド)=ヤスケンだけが「生きることの意味」を見つけられずにいた…。
…で、ここでシーンは一転。実はコレは全てヤスケンの夢の中の話なんですよね。 (ここら辺はLOOSERにちょっと似てます) 7回目の転職記念を祝ってシゲの家であつまるNACS。 励まさせるも、その仕事もすぐに止めてしまい、 フリーターになってしまうヤスケン。 自分の「生きることの意味って…」「自分は何の為に生きているんだろう…」
ここでまたシーンはMSFに戻りますが、この中で大泉氏は「ホーク」という役をやっています。 すごくスレンダーで頭もツンツンヘアーです。 (今の大泉氏からはおよそ遠く、めちゃめちゃかっこいいです) 彼は気が強く、腕の立つ、空軍No.1のパイロット(少尉)の役でした。 同期のパイロットに、実力ではなく部下の手柄から、隊長の座をさきにとられ隊長に反発していた男です。 彼の「生きることの意味」はパイロットととして空を飛び続けることでした。 ところが、自隊の隊長がロシア軍に殺され、しかも後任の隊長にもなれなかった… 時を同時にして妻から子供ができたとの知らせを受けます。 「自分の生きることの意味は何なのか」「戦う理由は自分に守るべきものがあるからではないのか」 そう考えた、ホークは日本侵略後、戦闘機を降りる決意をします。 (私は、ホークが一番「生きることの意味」についてまともに感じている人間だと感じました。) いよいよ、日本侵略が近づいた時に、先に察知していたハヤブサに、MSF空軍は攻撃を受けます。 どう見ても不利な戦いでした。そこで、彼は最後の決断をします。 「他の戦隊員を退去させ、自分ひとり残り、言わば自爆をして最期を遂げる」のです。 (それが最終的に咄嗟の判断で、ホークが選んだ「生きることの意味」だったことに、 私は涙せずにはいられませんでした)
MSFは日本侵略を果たし、横浜に基地を構えます。 そこへ、ドイツ軍と、アメリカ軍が攻めにきている。と報告が入ります。 なぜならば、MSF無国籍軍とはいえ、やはり中には、愛国心ゆえに、 もしくは初めからスパイとして、両国の軍人が入り込んでいたのです。 両軍から一気に攻められては勝ち目はありません。 そこでハイドは初めて「生きることの意味」を感じ取ります。 「生きているうちに何かを残すこと。コレが生きる意味だと」 そして沖縄にある、第2次世界大戦時に使っていた「有人ミサイル櫻花」と 共に自分が落ちるとみなに告げます。 (櫻花については詳しくは コチラ にでています) そして、ついにその時がきたときに「ハイド」は仲間にこう言ったんです。 「夢を見ていたんだよ…。夢の中で私はフリーターでね。 生きることの意味も何も持っていなくてね」と。 そして「ハイド」も最後を遂げました。 その後、MSFは両軍から攻め込まれ、最後ついに滅びます。

この「WAR」を見て思ったこと。戦争に関しての背景を勉強不足なのかもしれませんが、 どうも、やっていることは、始めのロシア軍も、ドイツ軍も、アメリカ軍も、MSFも変わりがないこと。 MSFにそんなに特別な意味があったのか?それが描ききれていないこと。 みんな同じただの戦争に見えてしまった事。 あと一番悲しかったのが、ヤスケン=HIDEの「生きることの意味」が「誇りを持って戦うこと=死」を 意味していたことです。そうじゃないだろ!って最後までそこだけは納得できませんでした。 第二次世界大戦当時の日本軍人の考え方だとしたらわかります。でも、コレは現代なのに… やりきれない思いでした。 そりゃ、わたしだって、「生きることの意味」はなんて聞かれたら今は応えられません。 なんとなく今を生きているのかもしれません。ヤスケンと同じだと思います。 でも、そんな人がほとんどで、今を生きることで精一杯。 この舞台で、モリが語りたかったことはわかる気はするけど、 「ヒミツの大泉洋」で渡辺えり子さんが「LOOSER」の感想の時言っていたように、 いくら舞台でも「死ぬことがカッコいいと思わせちゃいけない」と言ったことを ちょっと思い出した舞台でした。この舞台、みんなが死んでいきますから…。
と、ここまで書くとNACSってヤスケンと大泉氏しか出てないの? ってことになりますが、違いますよ。 シゲ…「マイク」という口は利けないのだが、その分ずば抜けた視力を持ち、 レーダーよりもすばやい能力を発揮する。ゴーグルをかけていてものすごくカッコいい。 (こんなのアニメの戦隊物にいそうなくらいのかっこよさ) モリ…MSFの「総帥リチャード」、なぜ彼が「戦争を永遠になくす為の、平和の為の戦争をする」 と言ったことに対して、あれだけのつわものが集まったのかがよく分からなかった。 「世界統一=世界平和=聖戦」この図式が彼の頭の中にはあるらしいのが、 それもイマイチ伝わってこなかったのが残念である。 音尾…陸軍隊長「ロイフィルター」、元アメリカ兵で、 軍人だったにもかかわらず人を殺すことが出来なかった。 そのことに苦しみながらも、途中裏切ったドイツ軍部下を殺し、戦い抜くが最後に死を遂げる。 当然、その他にもそれぞれが何役もやっています。 この「WAR」という舞台、私の中ではちょっとやりきれない思いが残った舞台でした。 ■関連日記/2005年4月4日


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